[ 科学技術・大学 ]

木星周辺の高エネガス、理研が輸送機構解明

(2017/5/24 05:00)

  • 「ひさき」と「ハッブル宇宙望遠鏡」による木星オーロラ観測の想像図(JAXA提供)

理化学研究所仁科加速器研究センターの木村智樹基礎科学特別研究員らが参加する国際研究グループは、木星のオーロラの観測から、木星周囲の宇宙空間で起きる高エネルギーガスの輸送機構を解明した。木星周囲には「エウロパ」や「ガニメデ」など地下に海があり生命の存在の可能性がある氷の衛星がある。今回、氷惑星周辺への高エネルギーガスの輸送の可能性が示された。地球と異なる生命環境の理解につながることが期待される。

日本の惑星分光観測衛星「ひさき」、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡(HST)や木星探査機「ジュノー」の観測データを利用し解明につなげた。

ひさきとHSTにより木星のオーロラを観測。2016年5月、木星極域の中緯度から低緯度に向かって明るく輝くオーロラを見つけた。その後、低緯度に向かってオーロラが広がっていくことも確認した。木星から700万キロメートル以内の場所で高エネルギーガスが現れ、20時間以内に木星方向に運ばれることが分かった。

さらに木星から700万キロメートル以内の場所に蓄積された火山ガスと木星の磁場のエネルギーに太陽風が加わることで高エネルギーガスが発生し、そのガスが木星まで運ばれた可能性を示した。

情報通信研究機構や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、欧米の大学などとの共同研究。成果は26日、米科学誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズの特別号に掲載される。

(2017/5/24 05:00)

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