[ ICT ]
(2017/5/28 07:00)
(ブルームバーグ)大手テクノロジー企業は、音声ベースのコンピューティングが次の一大プラットフォームになると考えている。音声アシスタントの利用者数と新たなユーザー体験を仕掛ける開発者の数でトップに立った企業が勝者になるという認識がある。
米アルファベット傘下のグーグルは、人工知能(AI)ソフトウエアの領域での米アマゾン・ドット・コムに対する劣勢を挽回する取り組みを強化している。最近の開発者会議「I/O」では、音声での質問に対応できる端末「グーグル・ホーム」と、700ドル(約7万8000円)分の自社クラウドサービス利用クレジットを、会場を訪れた約7000人に無償提供した。集まった開発者らに、自社のAIソフト「アシスタント」向けに音声認識アプリの開発と動作確認をしてもらうのが狙いだ。
これら開発者の多くはすでにアマゾンの音声アシスト機能「アレクサ」向けのツールの開発に携わっている。アレクサ用に開発された音声ベースのアプリの数は、アシスタント向けのそれを大きく上回る。グーグルとしては、アシスタントの利便性向上に欠かせない、腕の立つ開発者の囲い込みが大きな課題になっている。
仕事帰りの車の中でAIソフトに語りかけ、夕食を注文し、家に到着するまでにそれが用意されているようにする。そんなグーグルが描くコンピューティングの未来図実現に現時点で最も近づいているのは、アマゾンと同社のアレクサだ。アマゾンは今年、米フォード・モーターの車にアレクサを搭載し運転席から音声で検索や買い物、他のデバイスの制御を可能にすることで提携。アレクサは、2014年発売の音声認識端末アマゾン「エコー」への搭載で数百万人というユーザーを獲得し、早々にリードを奪った経緯がある。
自然な対話能力を持つコンピューター技術にはまだどの企業も近づいていないが、このような形のHCI(人間とコンピューターの相互作用)の時代が訪れるとしたら、グーグルは音声認識、自動言語理解といったAIの領域での強みが頼りになる。また、ウェブ検索エンジンで培った情報収集・整理面の強みがいずれ有用なソリューションの提供につながることにも期待をかけている。
(2017/5/28 07:00)