[ 政治・経済 ]
(2017/6/10 05:00)
政府は9日、経済財政運営の基本方針(骨太方針)を閣議決定した。成長戦略の柱に「人材投資」を掲げ、幼児教育・保育の無償化や待機児童解消への施策を年内にまとめる。一方、歳出抑制よりも経済成長を優先する新たな財政健全化目標を盛り込んだ。成長戦略や北朝鮮情勢を見据えた防衛費など歳出圧力が強まる中、財政規律の緩みつながる懸念がある。
幼児教育・保育の無償化に必要な財源は、財政効率化により捻出するか増税、または厚生年金などの保険料を上げる「こども保険」などを視野に入れる。
このほか超スマート社会の実現を目指した「ソサエティー5・0」を推進するほか、学校の休暇時期を地域ごとに分散する「キッズウィーク」の設定などにも取り組み、潜在成長率の引き上げと消費喚起につなげる。
一方、政府は財政健全化目標について、基礎的財政収支(プライマリー・バランス、PB)を2020年度に黒字化する従来指標に加え、公的債務残高が名目国内総生産(GDP)に占める比率も新たな指標とし、「安定的な引き下げを目指す」目標を盛り込んだ。
新指標はGDPが増えれば改善する。今後、実現が困難視されるPB黒字化は達成時期を先送る可能性もあり、新指標が重視されれば歳出抑制よりも成長依存の政策に軸足が置かれる。今回の骨太方針は財政規律が緩みかねない課題を残した。
(2017/6/10 05:00)