[ 機械 ]

MF―Tokyo2017/インタビュー(8)トルンプ社長のハルトムート・パネン氏

(2017/6/26 05:00)

自動車分野の開拓加速

―出展する出力8キロワットのレーザー加工機を中期の戦略機種に位置付けています。

「社内発表前だが、2020年にレーザー加工機で日本一を目指す計画をつくった。2次元レーザー単体機の販売台数、売上高で国内首位になる。今は3―4番手。今回の8キロワット機の特長である、窒素を使い板金を加工する無酸化切断がこのカギだ」

―具体的には。

「この8キロワット機で板金のレーザー加工は窒素の時代に入る。出展機は塗装に悪影響がある酸素ではなく、窒素で厚い軟鋼を切断でき、しかも増圧機が不要だ。増圧機の電気代も要らなくなる。鋼材メーカーに、窒素切断を前提にした材料開発を提案しており、機械、材料の両面で窒素が標準になるだろう」

―大寸法の材料を曲げ加工するパネルベンダーを披露します。

「会場での実演では、厚さ1ミリメートルと3・2ミリメートルの材料を、金型を変えずに連続加工する。プレスブレーキで15年来の実績がある角度センサーで角度補正をする。これで中板厚向けのプレスブレーキの領域をカバーしたい。パネルベンダーはスチール家具などの曲げ加工向けという固定観念がある。会場では、その考えを一度忘れ、プレスブレーキを置き換える機械として見てもらいたい」

―レーザーとパンチプレスの複合機については。

「パンチプレスにレーザーを後付けできるユニークな製品で昨年発売した。複合機のスタートアップ機であることを踏まえ、MFを機にパンチプレス単体の価格を約1000万円下げる」

―日本で車分野の開拓を進めています。

「加熱した鋼板をプレス成形するホットスタンプの後工程であるトリミング用途に多く供給し、国内首位級だ。独本社は10年来の実績があり、機械はすでに第3世代目だ。また、車体溶接用に大量受注しており、順調に伸びている。車分野はトリミング、車体溶接、パワートレイン系の溶接、電気自動車(EV)バッテリー関連の4領域がある。20年には現在の2倍の100億円以上に増やしたい」

【記者の目/サービス拠点・人員拡充を計画】

ホットスタンプは欧州の自動車業界が先行し、同社が現地でトリミング用を多く手がけてきた。それだけに国内でも競争力が高そうだ。ドイツ本社は溶接分野でも独フォルクスワーゲンをはじめ欧州車メーカーへの供給実績が多い。車分野を伸ばすため、国内でアフターサービスの拠点と人員の拡充を計画している。(六笠友和)

→ MF-Tokyo2017特集

(2017/6/26 05:00)

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