[ ロボット ]
(2017/7/9 06:30)
戦場などで上腕を切断した人向けのロボット義手が米国防総省高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトで実用化され、初のユーザーとなる復員軍人2人向けにそれぞれ調整されたモデルが復員軍人局(VA)から提供された。複数のモーターを使っていくつもの関節を同時に動かせる。自然に近い動作で、日常生活のこまごました作業が自分の手でこなせるようになるという。
この電動アームは、パーソナルモビリティーの「セグウェイ」を発明したディーン・カーメン氏率いる米DEKAリサーチ&デベロップメント(ニューハンプシャー州)がDARPAからの資金提供やVAの協力を受けて開発。映画「スター・ウォーズ」で機械の義手を装着する主人公のルーク・スカイウォーカーにちなんで「ルーク(LUKE)アーム」システムと名付けられた。
重さは人間の腕とほぼ同じという。肩の位置、肘より上、肘より下など切断位置に応じたモデルがあり、全機種一括で2014年に米食品医薬品局(FDA)から医療機器の承認を受けている。
特に肩からの切断に対応する電動義肢は初めてとされる。最大で10の自由度を持ち、腕を頭の上まで持ち上げたり、背中に持って行ったりという動作が行える。さらに、力センサーを組み込み、手を握る力を精密に制御できることから、中身の入った買い物袋を持ったり、牛乳をコップに注いだり、ブドウをつまんだりもできる。
電動アームの操作は、切断された部位の皮膚に接触するソケットの電極から筋電位を取り込み、パターン認識で信号を読み取る方法にも対応する。だが、片腕を失った最初のユーザー2人は、センサーを取り付けた足の甲の動きを無線でアーム側に送信し、直感的に操作する方式を選んだ。アームの量産はモビウス・バイオニクス(Mobius Bionics)が担当し、負傷した復員軍人に加え、一般人にも提供するという。
【LUKEアームの動画(DARPA提供)】
(2017/7/9 06:30)