[ 機械 ]
(2017/7/12 05:00)
鍛圧機械各社が拡張現実(AR)やプロジェクションマッピングなどのデジタル技術を使い、生産性や品質を高める製品を相次ぎ投入している。三菱電機は板金を切断するレーザー加工機にARを採用した新製品を追加。アマダホールディングス(HD)はプロジェクターの映像を投影するプロジェクションマッピングを用い、加工対象物(ワーク)の仕分けを容易にする。鍛圧加工の現場で人手不足や熟練技能者の減少をデジタル技術で補う動きが広がりそうだ。
三菱電機は6月に発売した数値制御(NC)装置搭載のファイバーレーザー加工機に、ARを活用した加工支援機能を盛り込んだ。端材を加工する際、加工テーブル上からカメラで撮影し、NC装置に加工結果をARでイメージ表示できる。加工前の段取り時間を短縮する。
村田機械は12日に発売する曲げ加工機に、映像と音を使って作業支援するシステムを搭載した。経験の少ない作業者が正確で高効率に加工できるよう、支援する。加工機前面をタッチスクリーンとして使い、原寸大の展開図や金型のレイアウト、曲げ加工のシミュレーションなど作業に必要な情報を投影。展開図と実際のワークを見比べられ、金型交換時には実物と表示されたイラストを照らし合わせ、間違いを防ぐ。
アマダHDは、ワークの仕分けにプロジェクションマッピングを使うシステムを開発した。棚から搬出されたワークに画像を投影し、品番ごとに光で色付けする。次工程に運ぶ台車に搭載された小型無線機器の発光ダイオード(LED)ビーコンと連携させ、ワークを同色のライトがついた台車に載せるよう案内する。
板金機械ユーザーが多い中小企業は人手不足が深刻になりつつある。日本商工会議所の調査では人手不足を訴える企業は60・6%(前年比6ポイント増)で60%を初めて超えた。特に熟練作業者の技能伝承が順調な企業は少なく、加工支援のニーズは高まりそうだ。
(2017/7/12 05:00)