[ 機械 ]
(2017/7/14 05:00)
自動車の軽量化に向け量産化技術の研究開発が進む炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製部品。プレスメーカー各社は高精度・高速で品質の高い成形技術を訴求する。他業種との協業の動きも目立ってきた。一方、必要最低限の材料で鋼板の強度を補い、大がかりな設備投資を伴わない技術も登場した。技術が確立していく過程で、導入を促す提案が進化している。(大阪・窪田美沙)
CFRP製部品の量産化に向け、放電精密加工研究所(神奈川県厚木市)は三菱商事テクノス(東京都港区)、松井製作所(大阪市中央区)、日立金属工具鋼(東京都港区)などと連携している。放電精密の工場内に設けた施設で試作に対応する。
同社は金属加工用のサーボプレスをCFRPの成形にも利用し、金型の温度調整装置と組み合わせたシステムを構築。部品の量産もプレスの提供も両方可能という。
栗本鉄工所はCFRP成形技術を開発する自社拠点で試作対応に注力。材料メーカーなどとも連携し、成形技術も自社で併せ持つ強みを生かし材料から成形プロセス、成形品まで幅広く提供する。
川崎油工(兵庫県明石市)は熱可塑性CFRPに対応した高速プレスや、射出成形などとの複合成形が可能なプレスなどをそろえる。高速プレスは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業で使われている。CFRP加工の際は水平に金型を動かすのが重要。同社は金型の平行度を制御する装置を1982年から手がけ、プレスと合わせた活用により高精度なシステムを提供する。
成形技術の確立に多くの課題があり、時間もかかる現状に対し、鋼板成形の工程を生かしつつCFRPによる軽量化を模索するのはエイチアンドエフだ。レーザーで熱可塑性CFRP製テープを鋼板に融着して積層し、補強するシステムの研究を進める。鋼板を薄くして軽量化し、CFRPは必要な部分のみに使用する。既存の生産ラインに組み込めるため大規模な専用設備が不要になり、導入コストも抑えられるという。
海外の技術を採用し、自社の駆動装置と組み合わせたシステムとして提案する。車のドアなどへの適用を見込んでおり、自動車メーカーなどからの反応を見たい考えだ。すでに取り組んでいる熱可塑性CFRPの成形技術の開発と並行し、新材料の加工ニーズに対応していく。
(2017/7/14 05:00)