[ 機械 ]
(2017/7/14 05:00)
15日まで開かれる塑性加工技術の専門展示会「MF―Tokyo2017〜第5回プレス・板金・フォーミング展」は、海外企業の出展が80社362小間(2015年の前回72社257小間)となり、展示規模では全体の20%を占める国際色豊かな展示会となった。スイスのメーカーが高精度のプレス機を日本で初めて発表するなど海外各社が先端技術を積極提案しており、日本市場で攻勢をかけている。(田中明夫)
スイスの板金機械メーカーのバイストロニックの日本法人は、曲げ加工機「Xpert」シリーズを日本で初めて発表。加工中の変形補正システムを搭載し、3メートルを超える部品の高精度加工を実現する。
同社グループは、2016年にテスト加工拠点を都内に開設し、ファイバーレーザー加工機を主力製品として約20年ぶりに日本市場に再参入した。今回の曲げ加工機の販売開始に加え、「加工拠点のスタッフも増やしており、日本事業を拡大していく」(バイストロニックジャパンのムヒカ・シーザー社長)と力を込める。
韓国のフォーミングマシンメーカーのHYODONG MACHINEは、加工ツールの交換システム「HRBT―718」を出展。ダイブロックとパンチブロックに加え、トランスファー装置もツール同時交換機能の対象にして効率性を高めた。
同システムは韓国や中国などで20―30件程度の提供実績があったが、このほど日本でも1件の受注が決まった。「日本では熟練技術者の減少が進み、自動化ニーズが高まる」(営業部)とみて、販売の拡大を図る。
サルバニーニジャパン(大阪府和泉市)は、板金曲げ加工をパネルベンダーとプレスブレーキの組み合わせで効率化するシステムを実演紹介している。
専用ソフトで金型交換を最小限に抑えられる加工手順を生成し、最適化された手順に沿って作業できるように誘導するのが特徴だ。2種類の設備を1人で操作でき、省人化につながる。加工時間も短縮可能で、非熟練者でも精度の高い加工ができる。
世界のプレス機械各社もここに来て日本の自動車業界の取り込みを強化する。世界最大手の独シュラーは日本の自動車、部品メーカーの開拓に本腰を入れる。欧米、中国で現地メーカー向けの受注を伸ばしているが、「日本勢へは参入障壁が高く手薄」(ヨーヘン・フルー取締役)と国内プレスメーカーが壁だ。
16年に国内代理店網に機械商社のリテック・ジャパン(東京都中央区)を加え、営業体制を拡充した。欧州で盛んな工法のホットスタンプ向けの成形システム、高張力鋼板(ハイテン)材を従来機より小さい加圧力で成形するサーボプレスなどを売り込む。
台湾のプレス機械メーカー、協易機械工業(SEYI)は、ハイテン材の成形技術を磨き、急接近している。引っ張り強度1500メガパスカルという、最先端の鋼板をサーボプレスで冷間成形する技術を完成させた。
「すでに引っ張り強度1200メガパスカル向けで供給実績があり、同1500メガパスカル以上を目標に開発していく」(スティーブン・リー副社長)とハイテン対応を進める。秋には日本にサービス拠点を開設する計画だ。
台湾のプレス機メーカーの千昌機械は、販売提携先であるエーティーエス(ATS、兵庫県尼崎市)とともに、加圧110トンの門型プレス機を出展。16年に日本国内でC型プレス機を3台受注したのを契機として門型プレス機の販売も開始。日本市場に本格参入する。
(2017/7/14 05:00)