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[ 科学技術・大学 ]
(2017/8/2 05:00)
東京医科歯科大学難治疾患研究所の石川俊平教授らは、びまん型胃がん(スキルス性胃がん)の組織内において、免疫細胞の全遺伝子情報(ゲノム)解析結果をもとに、がん細胞の増殖抑制効果を持つ抗体を人工合成することに成功した。ヒト抗体を用いたがん免疫療法やがんワクチン開発につながる。東京大学との共同研究。成果は2日、国際科学誌セル・リポーツに掲載された。
研究チームがびまん型胃がん組織内に存在する免疫細胞のゲノム解析を行うと、異物に対して抗体を作る免疫細胞「Bリンパ球」が増えていた。このBリンパ球が作り出す抗体のターゲットを調べると、糖鎖の一種「硫酸化グリコサミノグリカン」が抗原として同定された。
さらにBリンパ球のDNA情報をもとに作成したヒト抗体は、他のがんに対しても抗腫瘍活性を持っていた。
びまん性胃がんは、がん細胞が浸潤しながら広範囲に増殖する種類の胃がんで、予後が悪いことが知られる。治療法確立のため免疫システムの全体像解明が求められていた。
(2017/8/2 05:00)