[ オピニオン ]
(2017/8/15 05:00)
企業業績は総じて好調だが、国内総生産(GDP)の大幅な伸びは経営者の実感を上回るものだ。産業界としては今後の変動要因に注意しつつ、新規投資や新事業開拓などのイノべーションに挑みたい。
内閣府が発表した2017年4―6月期のGDP1次速報は6四半期連続のプラス。伸び率も実質年率4・0%増と高水準だった。寄与度でみると外需がマイナスなのに対し、内需は大きくプラス。また名目GDPは年率4・6%増と実質を上回り、デフレ脱却への期待が高まったことも特筆される。
緩やかなインフレの中で内需が景気を主導するのは、経済政策「アベノミクス」が目指した姿である。しかし安倍晋三政権は支持率低下で求心力が緩み、経済運営も精彩を欠いている。4―6月期の好調が盤石とは考えにくい。7―9月期は反動減や、相次いだ水害・豪雨の影響などが懸念される。
中期的には、米国のトランプ政権の保護主義的な政策が世界の通商関係に与えるマイナスが読み切れない。北朝鮮を巡る東アジアの危機も緊迫の度を増している。こうした世界経済の先行き不透明感は、しばらく解消しそうにない。
いま経営者に足元の景況を聞いて「好景気だ」という力強い答えは聞きづらいはずだ。しかし決して不況ではないことは統計からも明らかである。7―9月期の日本経済は、多少の減速はあったとしてもプラス成長を維持するだろう。産業界にとっては、弱いながらも追い風が続く状況にある。
こうした時期は日本の経済成長のターニング・ポイントといえる。企業の多くが守りに入れば、遠からず景気も失速する。逆に攻めの経営に転ずる企業が増えれば、景気の好循環が回り出し、産業の国際競争力も高まる。それぞれの立場で、第4次産業革命への対応や人手不足解消のための投資など前向きの施策を検討したい。
むろん個々の企業にできることは限られている。政府には、そうした投資に取り組む企業を応援する施策を求める。
(2017/8/15 05:00)
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