中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏（１３）優秀賞−エージェンテック

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  Ｓｍａｒｔ３６０の画面（左端が金社長、右端が塚田部長）

【Ｓｍａｒｔ３６０】

エージェンテック（東京都千代田区、金淙採（キムジョンチェ）社長、０３・３２３９・３６８１）は、３６０度のパノラマ動画や写真に、文字や音声などを当てはめることができるウェブ公開型のクラウドサービス「Ｓｍａｒｔ３６０」を開発した。ホームページやＳＮＳなどに活用し、多くの情報を入れ込めることで閲覧者が容易に情報収集ができ、サービス利用者側も閲覧者のログ情報などからマーケティングが可能となる。また、サービス利用者が容易にカスタマイズできる。

同社の主力製品である「ＡＢｏｏｋＢｉｚ」は動画や画像、文書ファイルなどを自社のコンビネーションツールを使って、リッチコンテンツとして見やすいものを簡単に制作・共有・管理・配信できる社内向けプラットフォーム。営業支援や情報共有などで活用でき、Ｓｍａｒｔ３６０では、このコンビネーションツールが採用されている。

他社の持つ３６０度のパノラマ技術と自社のコンビネーションツールを合わせることで、２０１６年４月にＳｍａｒｔ３６０をリリース。ＡＢｏｏｋＢｉｚは社内での使用を目的としたサービスのため、専用のアプリをダウンロードする必要がある。Ｓｍａｒｔ３６０ではコンテンツ制作の幅が広がったため、より社内だけに限らない多種多様な活用を考え、同社があまり力を入れてこなかったウェブ上でのオープン化を図った。開発担当の新プロダクト推進部の塚田達彦部長は、「多種多様なブラウザやデバイスによって表示できないことや、デバイスによってはバージョンごとに見え方が変わるなどの問題が生じた」とオープン化に伴う困難を語った。

その後、１７年４月に物をパノラマで動かす「Ｏｂｊｅｃｔ３６０」、また６月には元々制作予定だった社内向けの「ＡＢｏｏｋ３６０」を配信した。今後はデジタルサイネージ（電子看板）やモニターなどに映し出す「ＳｍａｒｔＬｉｎｋ３６０」を早ければ９月にも販売する予定だ。金社長は「今エンターテインメントに多く使われているＶＲは、今後産業に活用されるようになる。その中で弊社の製品・技術は大きな鍵となる」と未来について話している。

（大串菜月）

（おわり）