[ 機械 ]
(2017/8/24 05:00)
【グラフィカル調節計「形 C7G」】
「顧客も一体型の温度調節計に慣れていたが、利用する上では必ずしも易しくなかった」―。CP開発部8グループの内海慶也課長代理は、主に工業炉の温度制御に使われるグラフィカル調節計「形 C7G」の開発の出発点をこう振り返る。温度の制御部と表示部の一体型が当たり前だった調節計市場に、構造面を抜本的に変える考え方を持ち込んだ。これが制御部と表示部の分離だった。
形 C7Gは製品開発の原点である使いやすさにこだわった。分離構造により、表示部を見やすい場所に配置しやすくなる。制御部と表示部を最大30メートル離すことができ、「設置の制約をなくす」(内海課長代理)ことで利便性を高めた。タッチパネル式の表示部で、下部に配置したボタンで頻繁に使う機能を操作する。
アズビルは実用化に向けて、生産設備に潜む故障などのリスクをいち早くつかむことも重視した。故障の予知や検知につなげられる診断パラメーター(ヘルスインデックス)機能を搭載している。現場では制御機能の高さだけでなく、生産性や歩留まりを向上させるニーズが広がってきているという。新機能により半導体や電気電子部品、化学製品など幅広い業界の予防保全を後押しする。
アズビルにとって、形 C7Gはデザインを追求する意識も反映した製品だ。これまで人目になかなか触れることがない製品の場合、デザインよりも、コスト面をどうしても考えてしまいがちだった。ただ社内のデザインマネージメントグループがデザインに関連するガイドラインをまとめており、デザインで売る意識が浸透してきている。
内海課長代理は「チームワークがよく、アズビルらしさを醸し出す製品に仕上がった。ただ自己採点すると、100点を取れていない」と満足することはない。普段は見えにくい制御面から、さまざまな業界を支えるアズビルだが、デザインにこだわる姿勢が競争力に直結している。(孝志勇輔)
(2017/8/24 05:00)