[ 政治・経済 ]

18年度の概算要求総額、3.6%増の100兆9586億円−財務省まとめ

(2017/9/7 05:00)

財務省は6日、各省庁による2018年度一般会計予算への概算要求総額が100兆9586億円だったと発表した。17年度当初予算比では3・6%増と膨らみ、4年連続で100兆円を突破。高齢化に伴う社会保障関係費や北朝鮮情勢を見据えた防衛費が増えたほか、成長戦略の柱である「人づくり革命」「働き方改革」などへの歳出圧力が強まった。要求額を示さない「事項要求」もあり、年末に向けて厳しい予算編成作業を迫られる。

【防衛費最大】

厚生労働省は前年度当初予算比2・4%増の31兆4298億円、防衛省は同2・5%増の5兆2551億円といずれも過去最大の要求額。厚労省は高齢化に伴う歳出の自然増6300億円を、18年度の診療報酬改定などで目標の5000億円に抑える課題を抱える。

【学び直し支援】

人づくり革命など成長戦略への要求も相次いだ。厚労省は子育てなどで離職した女性の学び直し「リカレント教育」や非正規雇用労働者のキャリアアップなどを支援するほか、保育の受け皿拡大や長時間労働是正などの働き方改革も支援する。

リカレント教育関連は経済産業省や文部科学省も要求。経産省はIT人材の学び直しを促し、文科省は学び直しを推進する教育機関を支援する。また文科省は18年度に本格化する給付型奨学金2万2800人分を求めるなど子育て支援も拡充。

成長戦略関連では、経産省と国土交通省が無人トラックの隊列走行の研究・実験を推進。経産省は第4次産業革命に向けたIoT(モノのインターネット)施策の拡充や中堅・中小企業の海外展開支援を講じる。国交省は20年に4000万人を目指す訪日外国人観光客誘致、農林水産省は農地の大規模化や農産物輸出も推進する。

経産省は生産性向上に向け、中小企業の事業承継・再編・統合による産業の新陳代謝なども促進する。

【歳出改革必須】

結果、概算要求総額から国債費などを引いた政策経費は77兆1372億円と過去最大を更新。成長戦略などに充てる約4兆円の特別枠には、ほぼ枠一杯の3兆8583億円の要求があった。

他方、幼児教育・保育の無償化は事項要求とし、年末の予算編成に議論を先送りしており、18年度予算案を17年度当初予算(97兆4547億円)並みに抑えるには大幅な要求額削減が不可避になる。

木原稔財務副大臣は同日の会見で「年末までに歳出全般をしっかり精査する。人づくり革命などの政策課題に予算を重点化し、メリハリある予算にする」方針を示した。

(2017/9/7 05:00)

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