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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/6 21:00)
指数関数的な技術の進展、大きなチャンスに
米シリコンバレーに本部を置くシンギュラリティ大学(SU)からテクノロジーやイノベーションの専門家らを講師に招いたシンギュラリティ大学ジャパンサミット(一般社団法人21 Foundation主催)が6日、東京・青海の日本科学未来館で開幕した。今回が初開催で、初日の6日にはスポンサー企業の社員など300人以上がプレゼンテーションやワークショップに参加した。会期は8日までの3日間。
今回は「日本の未来を共に形づくる」がテーマ。6日のプレゼンでまず登壇したSUエグゼクティブ・ダイレクターのウィル・ワイズマン氏は、バイオテクノロジーやロボット、人工知能(AI)、医療、ナノテクなど指数関数的(エクスポネンシャル)に飛躍するテクノロジーについて、「それらを個別に掘り下げるよりも、統合していくことで予測していない大きなブレークスルーが生まれる。大企業も中小企業も激しい変化のスピードについていかなくてはならない」と強調した。
スーパーコンピューターや半導体チップなどの開発で注目されるペジーコンピューティング(PEZY Computing、東京都千代田区)の齊藤元章CEOは、スパコンやAI、量子コンピューターの今後の発展を展望。「AIの進化はまだ序章に過ぎない」として、その先には人間がコンピューターを介して互いにつながる「コネクトーム」が登場し、「人間同士がつながることで、人類はさらに知的な進化を遂げる」という驚きの未来像を披露した。
また、SUバイスプレジデントのニコラス・ハーン氏は、環境や貧困といった世界規模の課題に対して、CSR(企業の社会的責任)レベルではない企業の本格的な取り組みへの期待を表明。「エクスポネンシャルなテクノロジーを活用することで、エクスポネンシャルなチャンスがある。テクノロジーが発展し、先端技術が民主化され、どんどん入手しやすくなる中で、誰もが変革の担い手となる」と企業や個人の活躍に期待を示した。
スポンサー企業のある参加者は「国内ではあまり耳にすることのないスケールの大きな話でびっくりしたが、日本企業の社員のマインドセットを変え、殻を破るのに役立つのではないか」との感想を口にする。
シンギュラリティ大学は、シリコンバレーの米航空宇宙局(NASA)リサーチパーク内に2008年創設された教育機関・シンクタンク。AI研究の世界的権威であり、AIが人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に関する予測で有名なレイ・カーツワイル氏と、Xプライズ財団の創設者兼会長で起業家のピーター・ディアマンディス氏が共同創設者となっている。
(2017/9/6 21:00)