[ ICT ]
(2017/9/8 05:00)
アルゴリズムを活用し既にトレーダーを監視している銀行各行は、米銀ウェルズ・ファーゴで顧客に無断で無数の口座を開設する不祥事が発生したことを受けて、さらに多くのバンカーに監視対象を拡大する方向に動いている。
米IBMのワトソン金融サービスチームのマネジャー、マーク・アンドルーズ氏によれば、リテールバンキングのセールススタッフや融資担当者などの動静監視のために技術の活用が可能かどうか同社は銀行から問い合わせを受けており、複数の大手米銀と一部地銀がソフトウエアを実際にテストしている。アンドルーズ氏は、銀行の具体名を明らかにしていない。
ウェルズ・ファーゴは無断で開設された口座の件数が当初の見積もりを上回る約350万件に達すると先週発表したが、IBMは、同行で起きたような問題の察知に役立つと思われる情報の収集を人工知能(AI)システムの「ワトソン」に学習させている。アンドルーズ氏によると、人間の言語を理解するワトソンは怪しいログオンパターンのほか、連絡先情報が一致しなかったり、メール通知機能が解除されていたりする利用されていない金融商品や口座の水準に異常がないか調べるほか、行員のメールを解析してセールスを促すマネジャーの圧力といったトレンドも探る。
アンドルーズ氏はウェルズ・ファーゴに言及し、「大きな不祥事が昨年発覚するまでは、この分野に銀行はそれほど多額の投資を行ってこなかった。現金自動預払機(ATM)が壊れているかどうかを彼らは直ちに把握するが、知らないうちに口座が開設されていると多くの人々が訴えるようなトレンドが発生しても、どれだけ迅速に幹部の間で問題になるだろうか」と述べた。(ブルームバーグ)
(2017/9/8 05:00)