[ ロボット ]
(2017/9/13 05:00)
大成建設はイクシー(東京都中央区)と共同で、体に加わる力を感じ取る「力触覚」を生かした遠隔操作システムの開発を始めた。人間が物をつかむ時の力加減をデータ化し、ネット経由で離れた場所にあるロボットアームに伝達。ロボットアームが物をつかむ作業を遠隔操作できるようにする。当面は労働集約型作業などで利用を予定する。空間を超えて力加減を伝達できれば、さまざまな分野に活用できそうだ。
(編集委員・村山茂樹)
【人手不足対策】
「食品工場には労働集約型の作業があり、人が集まらないことに困っていた」。大成建設の大手山亮エンジニアリング本部エンジニアリング計画部技術戦略推進室課長代理は、力触覚による遠隔操作システムの開発を始めた背景を説明する。
食品工場では、調理工程のシステム化や自動化が進んでいるが、柔らかい物を扱う作業は人の手に頼っている。ただ最近は人手不足で人件費が上昇。自動化には多大な費用がかかるなどの課題が見えていた。
こうした中で大成建設が着目したのが、イクシーが開発した5本の指と手を備えたロボットアームと、力触覚グローブを組み合わせたシステムだ。イクシーはもともと電動で動く義手を手がけていたベンチャー。そこからヘッドマウントディスプレー(HMD)を用い、仮想現実(VR)で触れる物の感触を力触覚で再現する技術の開発に取り組んでいた。
【年内に実証】
そこで大成建設はイクシーのシステムを用い、ネット経由で力触覚を双方向で伝達できるようにし、遠隔地から工場内作業を実現する技術の開発を着想。作業者が力触覚グローブを装着し、工場内の映像を見ながら食品をつかんだり移したりする。実際の現場ではロボットアームが作業者の動きを再現する。
遠隔操作のため作業者の居場所を問わないのが利点。海外でも操作できるため、時差を利用して24時間操業も可能だ。完全自動化に比べてコストも抑えられる。さらに力触覚に関する作業データを蓄積し、人工知能(AI)を活用すれば「作業の自動化モデルも開発できる」(大手山氏)と期待する。
大成建設は2017年中に力触覚の遠隔システムのプロトタイプを完成し、実証に入りたい考え。導入対象として食品や医薬品の工場や、建設現場での溶接作業や資材分別などを想定する。大手山氏は「力触覚を社会に実装したい。働き方改革にも役立つ」と強調。イクシーの山浦博志CEOは「力触覚グローブの開発に力を入れていく」と語る。
(2017/9/13 05:00)
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