[ ロボット ]
(2017/9/24 11:30)
測定精度がミリメートル単位の「屋内レーダー」開発を進めるスタートアップ、米ヒューマティクス(Humatics)が技術の商用化に向けて大きな一歩を踏み出した。このほどシリーズAの資金調達で1800万ドル(約20億円)の調達に成功。この技術を使えば、工場内で働く作業者や人協調ロボットなどの位置を高精度に捉え、安全かつ正確な作業が行えるようになるという。まずは製造分野に向けて、2018年に製品の販売とライセンス供与を始める予定だ。
エアバスとロッキードのCVCが出資
ヒューマティクスは2015年、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で航空宇宙工学を専攻し、同社CEOを務めるデビッド・ミンデル教授らがマサチューセッツ州ケンブリッジで創業。19日に同社が発表したシリーズAの資金調達はデトロイトのフォンティナリス・パートナーズが主導し、欧エアバスおよび米ロッキード・マーチンのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)なども出資する。これでシードマネーも含め、2200万ドルを調達したことになる。
同社によれば、GPSと高周波を組み合わせるこれまでのポジショニング手法だと精度が限られ、センチメートルから数メートルの誤差がある。また、カメラやセンサーによる位置捕捉システムは高価になりがちで、光の影響を受けやすい。それに対し、高周波だけを使うヒューマティクスの技術は大幅にコストを下げられるという。
この「スペイシャル・インテリジェンス・プラットフォーム」は、高周波で人や物体をとらえるハードウエアと解析ソフトウエアで構成。30メートル以内に存在し、動き回る複数の対象物をミリメートル精度で位置特定できるとしている。
さらに、製造現場や配送センターといった産業向けだけでなく、自動車、ドローン、スポーツ、ゲーム、防衛、医療などの分野にも応用可能という。同社ではシステムのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、精密な位置特定を可能にする「マイクロロケーション」関連の幅広い製品・サービスを生み出すエコシステム(生態系)づくりも目指す。
ミンデルCEOは同社の公式ブログで、「市街地レベルでのデータについてGPSは新しい世界を切り開いた。マイクロロケーションもロボットや人間のスケールで新しい世界を切り開こうとしている」とコメントしている。
(2017/9/24 11:30)