[ 政治・経済 ]
(2017/9/25 19:00)
小池新党の伸長焦点
安倍晋三首相は25日午後6時から首相官邸で記者会見し、28日召集の臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切る意向を表明した。衆院選は「10月10日公示―同22日投開票」の日程で実施される。2012年12月の政権復帰以降の首相の政権運営に対する審判の場となり、首相は自身の経済政策「アベノミクス」の継続や憲法改正を掲げる。これに対し、政権批判を強める民進、共産両党などは候補一本化により対抗する構え。小池百合子東京都知事が率いる国政新党「希望の党」がどこまで支持を広げられるかも焦点だ。
首相は選挙戦で、19年10月に予定する消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使い道を見直し、教育無償化などに充てると訴える意向。公約には、従来の高齢者給付中心から子育て世代も含めた「全世代型社会保障」への転換を掲げる。
ただ、森友・加計学園問題で「丁寧な説明」を約束しながら、国会審議を回避する形で衆院を解散することには野党側から「疑惑隠し」との批判が出ている。北朝鮮情勢が緊迫する中で政治空白をつくることも疑問視されており、首相は会見で解散の「大義」を説明する見通しだ。
会見に先立ち、首相は経済財政諮問会議に出席し、消費税の使途変更を説明。その後、自民党臨時役員会で「28日の臨時国会冒頭で解散する」と伝えた。
さらに首相は、公明党の山口那津男代表と会談。「少子高齢化や北朝鮮などの国際情勢に対応するためにも政権基盤をしっかり固めたい。大きくこの2点で国民に信を問いたい」と伝え、選挙戦での自公協力を確認した。山口氏は会談後、衆院選の目標議席について「与党でしっかり過半数を確保することが最低の条件だ」と記者団に述べた。
首相は自民党の高村正彦副総裁や保岡興治憲法改正推進本部長とも個別に会談。公約での改憲の表現ぶりについて意見交換した。
一方、小池知事は25日午後、都庁で記者会見し、「希望の党」を結成して自ら代表に就くことを表明。基本政策に改憲を据え、全国で候補者を擁立する考えを示した。
衆院解散は14年11月以来、約2年10カ月ぶり。衆院選には「1票の格差」是正のため先の通常国会で成立した改正公職選挙法が初めて適用され、定数は10減の465と戦後最少になる。
経済界、アベノミクス強化を期待
経済界は、衆院解散・総選挙について、安倍晋三首相の政権基盤維持と経済政策「アベノミクス」の強化を期待している。
経団連の榊原定征会長は25日の記者会見で、アベノミクスについて「大きな成果があったが、まだまだ不十分だ」と指摘。「強化に向けた展望を政策で示し、国民の信を問う形で論議してほしい」と述べた。
榊原会長は、アベノミクスと社会保障の充実、北朝鮮問題への対応、憲法改正による自衛隊の位置付け明記が主要な争点になると指摘。その上で「自民党を中心とする政権の基盤が安定的に維持されることが非常に重要だ」と語った。(時事)
(2017/9/25 19:00)