[ オピニオン ]
(2017/9/27 05:00)
米玩具販売大手のトイザラスの経営破綻は、インターネット通販によって実店舗が浸食されることを象徴する出来事だ。日本の流通業界は“対岸の火事”と捉えず、明日は我が身だと考え、新たな戦略を示したい。
トイザラスは1990年代初期の日本進出の際に、米政府を通じて日本の大規模小売店舗法(大店法)を改正させ、廃止に追い込んだとされる企業。大店法は「日本の小売業者を守ってきた」「実は弱体化させただけ」ともいわれるが、廃止により流通業界は自由競争の荒波にさらされた。
その同社が経営破綻に追い込まれた最大の理由は、アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販の台頭である。ここ数年でアマゾンは急成長し、今年、世界の小売業ランキングで初めてトップ10入りした。
米国では家電量販店やスーパー、ショッピングモールなど実店舗の苦境が伝えられている。日本でも同様の動きが起きており、実店舗を持つ流通業の苦境はさらに進む可能性は高い。
とはいえ、国内流通業の危機感は希薄に感じる。スーパーの経営者に話を聞くと「赤字店舗を閉められない」という話を耳にする。「まだまだ売り上げが見込めるから」というのがその理由だ。
ネット通販の脅威は分かっていても、「まだ当分先のこと」「もう少したってからでも遅くない」と対応を先延ばししている経営者は少なくない。ただ、手をこまねいていては足をすくわれる可能性もある。
ネット通販の強みは、無店舗販売による低コスト化が可能な点だ。「実店舗より安く、自宅まで運んでくれる」点に魅力を感じて利用する消費者は急増している。今後もジワジワと実店舗を侵食していくことは間違いないだろう。
ネット通販に対抗してネット事業を始めた実店舗も多いが、それだけではコスト面で無店舗販売にはかなわない。モノから“コト”へと戦いの土俵を別の場所に移したり、思い切った経営改革に乗り出すなど、さまざまな創意工夫が必要だ。
(2017/9/27 05:00)
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