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(2017/10/3 05:00)
ルネサスエレクトロニクスは構造改革に区切りをつけ、成長フェーズへの移行を宣言した。就任後1年がたった呉文精社長兼最高経営責任者(CEO、61)は7月、大胆な機構改革を実施。2事業本部を3事業本部制にしたほか、生産管理に特化した部門を作るなど、顧客主体の部隊とそれに横串を通す機能を明確に位置づけた。
従来の事業本部は、開発が主体で販売・マーケティング部門は別になっていたが、今回、事業本部に機能を統合。「事業本部で製品供給から収益までの責任を負う」(呉社長)ことを鮮明にする。
機構改革の特徴が色濃く表れているのが、従来一つだったロボットや精密機器などの産業向け事業と、汎用品事業を二つの事業本部に分けた点だ。
産業向けを率いるのは、横田善和執行役員常務(56)。4月の自社展示会では「顧客と共にスマート社会を実現する」とアピールした。呉社長も「産業部門により注力する姿勢を示した。顧客と密着して先端開発を進める」と意気込む。
汎用品事業を率いるのは2月に買収した米インターシルのネイジップ・サイナエアーCEO(52)。ルネサス初の外国人執行役員常務として、経営会議のメンバーに加わった。呉社長は「技術者と経営者、二つの経験を両立する人材」と期待する。
サイナエアー執行役員は米国に常駐し、経営会議は全て英語で実施するなど、呉社長が就任後から強調している「グローバルカンパニー化」の一手でもある。
注力市場として中国事業統括本部も設置。事業トップの真岡朋光執行役員(43)は「中国の独自ニーズに合わせ開発、設計体制を構築する」と意気込む。
ルネサスは経営再建期にあったこともあり、筆頭株主である産業革新機構の意向を受けたトップが就任してきた。呉社長は61歳とまだ若く次のトップを選ぶ時期は先になりそうだが、呉社長は「社内で経営者を育てたい」と明かす。ルネサス自らが次のトップを選んでこそ、本当の意味での「普通の会社」になったと言える。内部昇格の有無は次の注目点となりそうだ。(火曜日に掲載)
(2017/10/3 05:00)