[ ICT ]
(2017/11/5 09:30)
ソフトバンクグループ傘下の携帯通信事業者である米スプリントと、ドイツテレコム子会社の米Tモバイルは4日、統合協議を打ち切ったと発表した。米国でベラインゾンとAT&Tに続く業界4位と3位の経営統合交渉ということで注目されたが、条件面で折り合わなかった。スプリントは2014年にもTモバイル買収に乗り出し、その際には米規制当局の反対で撤回に追い込まれている。
「我々は15四半期連続で業界平均の成長を上回り、株主に多大な価値をもたらしている。消費者への利益を含め、さまざまな理由からスプリントとの統合は抵抗し難いものだったが、どの会社との交渉であれ、結果的にTモバイルの株主に対する長期的な価値を優先しなければならない」。Tモバイルのジョン・レジャーCEOは声明でこう述べ、スプリントとの交渉条件がTモバイルの株主利益を満足させるものではなかったことを示した。
一方、スプリントのマルセロ・クラウレCEOは声明の中で「経営統合による規模拡大のメリットはしっかりと理解しているが、我々はそれぞれの会社が自分たちだけで前に進むのがベストだということで合意した」と説明。さらに、「ビジネスや市場がネットワーク化され、そこでの統合が進んでいく。だからこそ、我々は複数の産業との間で強い協力関係を結ぶ大きなチャンスが存在すると信じている」とし、さらなる再編を模索していく考えもにじませた。
ロイターは関係者の話として、7月の時点でソフトバンクグループがケーブルテレビの米チャーター・コミュニケーションズに対し、スプリントと統合させる買収提案を検討していたと報じている。
米国の携帯電話業界はベライゾンとAT&Tの上位2社が大きくリード。下位のスプリントは低価格戦略で既存顧客のつなぎとめや新規顧客の開拓を進める一方、財務基盤の立て直しが課題となっている。今回のスプリント、Tモバイル両社の交渉も、経営統合によるコスト削減と、プレーヤーが4社から3社になることでの価格競争の緩和を狙ったものだった。
(2017/11/5 09:30)