[ 金融・商況 ]
(2017/11/10 20:00)
【北京時事】中国政府は10日、米中首脳会談で合意した内容として、金融分野への外資参入に関する規制緩和策を発表した。中国の合弁証券会社での外資の出資比率上限を49%から51%に引き上げるのが柱で、米金融大手ゴールドマン・サックスなどの事業拡大が見込まれる。出遅れていた日本勢の中国進出を後押しする可能性もある。
中国側は9日、首脳会談に合わせ、2500億ドル(約28兆円)超の大型商談をまとめた。トランプ米政権からの貿易赤字削減に向けた圧力をかわすため、金融市場の開放も約束した形だ。
朱光耀財政次官は「51%に引き上げ、その3年後には出資比率の制限を受けなくする」と述べ、3年後に100%出資を認める方針を示した。
中国の証券業界に参入する際、現地企業と合弁を組む必要がある。出資が49%では経営権を握れず、自由な事業展開ができないため、外資系は規制緩和を求めていた。
現在、一部例外を除けば、ゴールドマンなど外資は49%以下の出資しかできていない。日本の証券会社は過去に合弁を組んだこともあるが、既に解消しており、現時点では各社とも営業ライセンスのない駐在員事務所を置くにとどめている。
業界関係者によると、ゴールドマンなど欧米勢は、経営権を完全に掌握した上で、新規株式公開(IPO)の引き受けや、富裕層向け資産管理業務を大きく展開していきたい意向だという。
日本の証券各社は、対中戦略の練り直しを迫られそうだ。関係者は「指をくわえて見ているわけにはいかない」と話した。
中国政府はまた、生命保険や銀行の合弁企業の出資規制も緩和。生保には3年後に51%の出資を認め、5年後に撤廃する。日本の生保は既に合弁の形で進出しており、事業拡大を検討すると予想される。
(2017/11/10 20:00)