[ ICT ]
(2017/11/12 10:00)
米アップルがイメージセンサー向けの技術を手がける米インビセッジ・テクノロジーズ(InVisage Technologies、カリフォルニア州)を買収したと、テクノロジーニュースサイトのテッククランチが報じた。同社の量子ドットフィルムを使えば光感度の高いイメージセンサーを実現でき、暗い場所でのクオリティーの高い写真の撮影や、スマートフォンに搭載されるカメラモジュールの薄型化に役立つと見られている。
インビセッジは2006年に創業されたトロント大学発のスタートアップ。同社が開発した「クォンタム・フィルム」は、化合物半導体のナノ粒子である量子ドットを分散させた素材で、より多くの光子を捉えることができる。結果的に画像イメージの情報量が多くなり、色の再現性もより正確になるという。
これまでのCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサーに使われているシリコンベースの光吸収層に比べ、クォンタム・フィルムだと同じ量の光を吸収するのに10分の1の厚みで済む。さらに、シリコンだと赤い光の吸収が弱いのに対して、ほぼすべての波長帯域の可視光を吸収できるという。
一方、アップルはiPhoneやiPadに搭載する大量のイメージセンサーを外部から調達しているが、今回明らかになった買収により、イメージセンサーやカメラモジュールまで内製化する可能性も出てきた。マイクロプロセッサーの「Aシリーズ」に見られるように、部品メーカーを上回る技術をアップル自らが保有することで、スマートフォンの競合他社との差別化を図る狙いがあるためだ。
カメラ関連で、アップルは15年にイスラエルのリンクス・コンピュテーショナル・イメージングを買収。複数の小型カメラを使ったカメラモジュールアレイによる高精度3Dマッピングの技術を取り込んでいる。
(2017/11/12 10:00)