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[ エレクトロニクス ]
(2017/11/20 05:00)
≪日立製作所/日立ジョンソンコントロールズ空調 快適性を追求した家庭用エアコンの画像処理モジュール≫
【アイデア具現化】
エアコンが在室する人を見分けられれば、暖め過ぎや冷やし過ぎを防げるのでは―。そんなアイデアを具現化したのが、日立製作所と日立ジョンソンコントロールズ空調(東京都港区)だ。両社は色の情報を基に人を識別するカメラを開発し、エアコンに搭載した。「エアコンが人を見分ける」という発想の裏には、消費者の不満の声に耳を傾ける誠実な姿勢があった。
開発した「くらしカメラ AI(エーアイ)」は服や顔、髪の色で人を識別する。在室時間に応じて、体感温度の変化を予測。人の位置や在室時間などの情報と組み合わせて、6カ所の吹き出し口から出る風の方向や量をエアコンが自動で調整する。
【不快な環境防ぐ】
さらに就寝する際など電気が消えた場合でも位置が動かなければ同じ人と認識し、快適な風を送る。そのため、暖め過ぎや冷やし過ぎといった不快な環境を防げる。こうした機能を持つエアコンは初めてという。
日立製作所は2012年に、在室人数や部屋の間取り、日が差し込む場所などを把握する「くらしカメラ」をエアコンに搭載した。当時について、日立ジョンソンコントロールズ空調の上田貴郎主任技師は「実験室や社員の自宅のエアコンにカメラを据え付け、長期間リビングを撮影した。社員の家族も含めた一大プロジェクトだった」と振り返る。
さらなる製品の改良につながったのが、ユーザーの不満だった。アンケートを実施した結果、一般的なエアコンが稼働し続けると起こしてしまう「暖め過ぎ」や「冷やし過ぎ」に対して不満の声が多いと判明。「カメラのセンシング技術を使って、何かできないか」(浜田宏一日立製作所主任研究員)と考え、カメラの改良につなげた。
自社の強みを生かして課題を解決したが、研究者は製品のさらなる改良に向けて余念がない。日立の浜田主任研究員は「ユーザーが気付いていない不満をもっと解決してあげたい」と意欲を燃やす。
【使いやすさ追求】
また「操作する回数が多く、手間がかかる機能は使われなくなってしまう」(小松佑人日立製作所研究員)としており、使いやすい機能を追求した製品の開発に日々取り組んでいる。
(福沢尚季)
(2017/11/20 05:00)