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[ 科学技術・大学 ]
(2017/11/26 13:00)
家庭用の電子レンジを使って、自動車の排ガス浄化装置に含まれるレアメタル(希少金属)を効率的に回収する方法を、山形大の研究チームが開発した。実用化につながれば、費用や時間をこれまでより大幅に抑えることができると期待されている。
研究チームによると、車の排ガスは、蜂の巣構造の筒の内部にプラチナやパラジウムなどのレアメタルの粒子を貼り付けた触媒を通って有害物が除去され、マフラーから排出される。車1台分の触媒には、プラチナ約1グラムが含まれているという。廃車をリサイクルする場合、レアメタルは専用の処理施設で触媒を粉砕して回収するため、不要な物質を取り除く必要があった。
電子レンジに入れるため小さくカットされた触媒(22日、時事)
新たな方法は、触媒を粉砕せずにレアメタルを回収する。触媒の蜂の巣構造に酸を注入し、電子レンジで数十秒間、マイクロ波を照射。内部のレアメタルだけが溶けてできた液体に還元剤を加えると、レアメタルが粉末になって現れる。
粉末にする際も、電子レンジでマイクロ波を照射すれば反応を促進できる。1センチ四方の触媒から溶液を作ってレアメタルを回収するには、従来の方法では約27時間かかっていたが、新しい方法では10分以下に短縮でき、処理施設に運ぶ必要もなくなる。
研究チームの遠藤昌敏准教授(分析化学・環境化学)は「誰でも簡単に作業ができる電子レンジを使い、実用化につなげたい」と話している。(時事)
(2017/11/26 13:00)