[ ICT ]
(2017/12/5 22:00)
世界各国が開発競争にしのぎを削るスーパーコンピューター業界で急速に頭角を現してきていた斉藤元章容疑者(49)。「期待されていたのに」。トップランナーが逮捕される事態に、関係者の間で衝撃が広がった。
自著などによると、斉藤容疑者は新潟大医学部や東京大大学院を経て、1997年に米シリコンバレーでシステム開発会社を設立。これまでに創業したベンチャー企業10社の累計売上高は1000億円を超え、出願した特許は80件に上るという。
東京都内にスパコン開発を手掛ける「PEZY Computing」を設立したのは2010年。資本金9億円余りのベンチャー企業だったが、共同開発したスパコン「暁光(ぎょうこう)」が今年11月、スパコンの国際ランキング「TOP500」で、国内最高の4位を記録した。ベンチャー企業の躍進は、名だたる巨大企業がリードする業界で異彩を放った。
スパコンは膨大な熱を発するが、暁光は液体に浸すことで冷却を図るユニークな設計だった。今年1月には科学技術振興機構の最大50億円を無利子で貸し付ける事業に採択された。同機構の担当者は「スパコンの小型化、省エネ化に優れ、業界で期待されていた」と話す。
大学時代の友人で、現在も交流がある米山隆一新潟県知事は5日、「非常に残念。既存のものを効率的に作っていく才能のある人だ」と語った。
講演会やメディアへの露出も多く、11日にはNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介される予定だったが、放送内容の差し替えが決まった。(時事)
(2017/12/5 22:00)