[ ICT ]
(2017/12/15 12:30)
3対2で承認、法廷争いに発展か
(ブルームバーグ)米連邦通信委員会(FCC)は、インターネット中立性規則の廃止を承認した。同規則では、インターネットのブロードバンドプロバイダーが、より高速のサービスに対して高い料金を支払う用意のあるウェブサイトへの優遇措置を禁じていた。今回の決定により、ネット中立性を巡る議論は法廷での争いに持ち込まれる公算が大きい。
共和党主導のFCCは14日、オバマ前政権が導入したネット中立性規則の廃止案を賛成3、反対2で承認した。民主党の委員の反対を押し切る形でFCCは、AT&Tやコムキャストといったブロードバンドプロバイダーに対する監督権限の大半を放棄し、反トラスト局や連邦取引委員会(FTC)が競争阻害行為を監視できると説明した。
『インターネットの自由を回復すべき時』
FCCのパイ委員長は「インターネットの自由を回復すべき時だ」と述べた。パイ氏はトランプ米大統領の指名でFCC委員長に就任、2015年に民主党政権下でFCCが同規則を採用した際には、FCC委員として反対票を投じていた。
規則変更は行政予算管理局(OMB)による審査を経る必要があり、「数カ月を要する可能性がある」とFCC幹部のクリス・モンティース氏は説明した。
ネット中立性規則が廃止されれば、ブロードバンド事業者はウェブサイトに対して自由に課金できることになる。ただこれはブロードバンド事業者に料金を支払う力や支払い要求を無視できる影響力を大手ウェブ企業ほど持たない中小企業やスタートアップ企業にとっては障壁となる恐れがあると批評家は指摘する。
パイ委員長の命令に反対する活動家グループのフリープレスは、国民の意見を完全に無視しているなどとしてFCCを相手取り提訴すると表明。ワシントンとニューヨークの両州の司法長官も提訴の方針を示した。
一方、ブロードバンド事業者側は、消費者が制限のないウェブサクセスを求めているため反競争的な「高速レーン」を提供する計画はないと主張。コムキャストのシニアエグゼクティブバイスプレジデント、デービッド・コーエン氏は発表文で「今日の決定はわれわれの知るインターネットの終わりを記す動きではない。むしろ軽めの規制で消費者に恩恵をもたらす新時代の到来を告げるものだ」と指摘した。
アルファベット傘下のグーグルやフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなどのネット企業はネット中立性規則の維持を求めており、グーグルはFCC決定後の発表文で、「われわれは大小を問わず中立性規則の支持者らと共闘していく」との立場を明らかにした。
(2017/12/15 12:30)