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[ 環境・エネルギー ]
(2017/12/16 15:30)
LNG、供給追い付かず
【北京時事】深刻な大気汚染の防止を目指す中国政府の取り組みがつまずいている。汚染の根源とされる石炭を暖房用に使うことを制限し、天然ガスに切り替えようとしたが、一気に需要が増えて深刻なガス不足に陥った。寒さに震える人たちが続出する緊急事態に慌てた政府は一転して石炭の使用継続を認めるなど、対応が迷走している。
「産業用のガス供給を停止し、全力で家庭用に振り向ける」。北京市に隣接する河北省を中心に地方政府やガス会社などは、こうした緊急の対応に追われている。
「脱石炭」の取り組みが加速したきっかけは、10月の共産党大会。習近平国家主席が「青い空を守る戦いに勝利する」と宣言し、各地で具体的な動きが相次いだ。河北省の小学校は代替設備のないまま石炭ストーブが撤去され、多くの児童が霜焼けになったという。同省などでは1000万人以上が氷点下で暖房のない生活を余儀なくされているとの報道もある。
中国メディアによると、液化天然ガス(LNG)の国内出荷価格は11月初めに1トン当たり4000元(約7万円)程度。急速に伸びる需要に供給が追い付かず、同月末には2倍の8000元に跳ね上がった。
厳寒期が迫る中、環境保護省は切り替えが間に合わなければ、従来通り暖房用に石炭を使うことを認めると緊急に通達。「青い空を守る」と公約したばかりだが、今冬も北京などがスモッグで覆われる可能性が大きくなってきた。
(2017/12/16 15:30)