[ 政治・経済 ]
(2017/12/22 14:00)
米財政支援打ち切り警告に非難 「われわれは屈服しない」
【ニューヨーク時事】トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題を受け、国連総会(193カ国)は21日、緊急特別総会を開き、エルサレムの地位を変更する決定は「無効」として、撤回を求める決議案を賛成128、反対9、棄権35で採択した。総会決議に法的拘束力はないが、国際社会として一致した勧告を打ち出す狙いがある。
トランプ米大統領は20日、決議賛成国への財政支援を打ち切ると脅していたが、日英などの同盟国やアラブ諸国など加盟国のおよそ3分の2が決議を支持。パレスチナ問題で国際社会と立場を異にする米国の孤立が改めて浮き彫りになった。
採択に先立ち演説したパレスチナ自治政府のマルキ外相は「われわれは脅されないし、困難に立ち向かう」と宣言。トルコのチャブシオール外相も支援打ち切りの脅しは「弱い者いじめであり、この(総会)議場が屈服することはない。加盟国の投票や尊厳を売買できると考えるのは非道徳的だ」と厳しく非難した。
国連の緊急特別総会で発言するヘイリー米国連大使(21日、EPA=時事)
これに対し、ヘイリー米国連大使は採決前の演説で「この投票で、国連や、国連でわれわれを尊重しない国に対する米国の見る目は変わる」と警告した。
国連総会では11月末に、毎年恒例のエルサレムに関する別の決議が賛成151、反対6、棄権9で採択されている。決議案の内容は異なるものの、11月末の決議で賛成していた一部の国が棄権に回るなどしており、トランプ氏の警告が影響を及ぼした可能性もある。
今回の決議には米国とイスラエルのほか、パラオやマーシャル諸島などが反対。棄権国はカナダやメキシコ、オーストラリア、ルワンダ、ウガンダ、チェコ、ハンガリーなど。
21日の総会決議は、トランプ氏を名指ししていないが、「エルサレムの地位に関する最近の決定に深い遺憾の意」を表明。エルサレムの地位変更は「法的効力はなく、無効で撤回されなければならない」と要求した。
同様の決議案は18日、国連安保理でも採決され、米国以外の14カ国が賛成したが、米国の拒否権行使で廃案になった。これを受け、緊急特別総会の開催が決まった。
(2017/12/22 14:00)