[ 政治・経済 ]
(2017/12/28 05:00)
トランプ米大統領が貿易を巡り厳しい姿勢を示していたことから、2017年初めは見通しが暗かったが、携帯電話や家具などさまざまな製品の輸出ブームに沸くベトナムではその勢いが衰える気配はない。
家具メーカーのスアンホア・ベトナムは生産拡大のため300万ドル(約3億4000万円)の設備投資を行い、来年の輸出受注を20%増と見込んでいる。ゼネラルディレクター、レ・デュイ・アン氏がインタビューで語った。ハノイ近郊にある同社は、スウェーデンの家具量販店イケアなどの顧客向けにオフィス用のテーブルやキャビネットを生産。「来年の販売についてかなり楽観している。欧州に新たな顧客を抱えており、既存の顧客からの発注も昨年より多い」と話した。
トランプ大統領が表明した米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱は、対米輸出の割合が大きいベトナムにとって打撃になるとみられていた。だが、世界貿易が回復したことと、若者を中心とするベトナムの安価な労働力が国際的な投資家を呼び込み、スイスのネスレなどがベトナムに工場を今年オープンさせた。
ベトナム統計総局が27日発表した17年の国内総生産(GDP)は前年比6.81%増となった。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシンガポール在勤エコノミスト、ユージニア・ビクトリーノ氏は「製造業大国への急速な転換が進むベトナムには、製品と市場の多様化が輸出の追い風だ。不良債権が残るなど構造的な問題については警戒を続けているものの、成長に関してわれわれは非常に強気だ」と述べた。
ベトナムの輸出額は16年に過去最高の1770億ドルに増加。携帯電話と部品が輸出全体の約2割を占めた。国別では対米輸出が全体の約22%。世界銀行によると、輸出は15年時点でGDPの90%相当で、10年前の64%からその割合が大きく上昇している。
ベトナム政府は輸出が経済成長を支えると期待しており、18年のGDP成長率目標として今年と同じ6.7%を掲げている。(ブルームバーグ)
(2017/12/28 05:00)