[ オピニオン ]
(2018/1/11 05:00)
景気は好調。新年を迎えた政財界のトップの表情も例年以上に明るい。恒例の経済3団体の賀詞交歓会であいさつした安倍晋三首相は、経済再生の成果を誇示した。
続けて「3%の賃上げをお願いしたい」と要望する首相に、企業トップは苦笑い。国内需要が供給を上回る追い風の時期に「次の施策を打っておかないと」(NTT社長の鵜浦博夫さん)というのが産業界の共通認識だ。
では備えるべきリスクは何か。日本商工会議所会頭で新日鉄住金名誉会長の三村明夫さんは「景気がいいという現状認識が間違い」と手厳しい。「内需が十分に盛り上がっていない。楽観は禁物だ」と気を引き締める。
日本生産性本部会長でキッコーマン名誉会長の茂木友三郎さんは「政治が心配。世界経済は好調だが、米国や英独の政権が揺らいでいる。政・経の状況がこんなに一致しないのはかつてないこと」と警戒感をあらわにする。ただ日本に限っては「安倍政権の安定は心強い」。
日立製作所会長の中西宏明さんは「企業は何が起きても対応する心構えを持つしかない。ものごとは予定通りには進まないんだから」とニヤリ。次期経団連会長が内定したばかりの中西さんの言葉だけに、つい深読みをしたくなる。
(2018/1/11 05:00)