[ オピニオン ]
(2018/1/12 05:00)
人口減少時代に入り、都市部で空き家や空き地がランダムにできる「都市のスポンジ化」が進んでいる。まちづくりや住環境に大きな影響を与えるため、発生を防ぐとともに、発生しても対処できるような仕組みや施策が必要だ。
国の調査では、2013年時点で5年前と比べて空き家は8%増、空き地は28%増と増えている。民間シンクタンクによれば、空き家率は33年に約30%に達するという予測もある。
空き家や空き地が増えれば、景観の悪化や不法投棄、防災・防犯の機能低下などが懸念される。地方都市の中心部では商店街で空き店舗が目立つ「シャッター通り」が生まれて久しい。集客力が低下し、街としての魅力が落ちてしまう。
スポンジ化により人口密度が低下すると、商業や飲食、医療などが成り立ちにくくなり、公共交通サービスの維持も難しくなる。行政も非効率になり、サービス低下や住民の費用負担増につながりかねない。
各都市はこうした状況を打開しようと知恵を絞っている。山形県鶴岡市では、NPO法人が空き家・空き地と近隣区域を一体化してコーディネートし、住環境を向上させる事業を展開している。北九州市では官民が連携し、建物をリノベーションしやすくする仕組みを整え、市街地の再生・活性化に取り組んでいる。
国土交通省は都市のスポンジ化に危機感を抱いている。スポンジ化が進めば、都市機能を集約して生活に必要なサービスを確保する「コンパクトシティー」の実現を妨げるからだ。
このため、空き家・空き地への対処策と、発生を防ぐ予防策の観点から施策づくりに取り組んでいる。土地・建物の流動性を高めたり、地域住民が整備・管理できたりする仕組みを整える方針だ。
空き家・空き地は個人や法人の資産であり、かつ都市の一部を形成しているところに問題の難しさがある。国のリーダーシップは不可欠だが、地域社会や一人一人の問題意識も高める必要がある。
(2018/1/12 05:00)
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