[ 自動車・輸送機 ]

【電子版】トヨタ、欧州に新拠点 「つながる車」で攻勢 日米欧でデータ商用化加速

(2018/1/19 14:30)

 トヨタ自動車はインターネットに接続する機能を備えた「コネクティッドカー」に集まる情報やデータの商用化を進める子会社を欧州でも年内に設立する意向だ。車に集まる情報を自社で一元管理できるシステム構築のめどが立ったこともあり、同事業への取り組みを加速する。

 トヨタはコネクティッドカーについて、同社の主力市場である日本と米国に既に拠点を構えている。友山茂樹副社長はインタビューで車両情報を自社で管理できるシステムの「構築のめどがほぼ立った」とし、年内に欧州にも同様の現地子会社を設立して同分野の強化をさらに進める考えを明らかにした。車両から集めたデータをさまざまな場面で活用し、サービスにつなげることは「トヨタだけではできず、異業種との連携が必要」とも述べた。

  • データを活用したサービスの創出については異業種との連携を強調する(トヨタ自動車副社長・友山茂樹氏、ブルームバーグ)

 コネクティッド技術に関しては車の走行距離や位置情報、ドライバーの属性や嗜好(しこう)などの傾向をデータとして集約し外部に提供することで、商用化につながるとされる。そのため、自動運転や電動化などと並んで今後の自動車メーカーの成長を左右する競争領域として注目が高まっている。

 PwCコンサルティングの調査によると、世界の自動車市場はコネクティッドカー関連で莫大(ばくだい)な売り上げを生み出す可能性があるとし、規模は2017年の525億ドル(約5兆8000億円)から22年には約3倍の1559億ドルまで拡大するとみる。

 IHSマークイットの松原正憲アナリストはコネクティッドの分野では、トヨタのような自動車メーカーとIT関連企業の「競争は避けられない」としたうえで、「利用者が車の付加価値として感じてもらえるようなものをいかに提供していけるかが求められている」と話した。

 トヨタでは16年、各車両に搭載する車載通信機(DCM)とそれで集めた情報やデータを管理する「ビッグデータセンター」を基盤とする「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」を構築し、保険会社やカーシェアなどの事業者との提携を進めるとの意向を示していた。

深まるIT企業との関係、パートナーがライバルに

 車のIT化が進むなか、米グーグルなども車載情報機器や自動運転車の開発を進め、既存の自動車メーカーと競合する構図となっていた。豊田章男社長は今月の米国際家電見本市(CES)で「グーグルやアップル、あるいはフェイスブックのような会社もライバルになってくる」と話していた。

 トヨタでコネクティッド技術を含むIT関連事業を統括する友山副社長は、外部の企業に「データを渡すということは社会的にも顧客の保護の意味でも適切ではなく、そこは非常に慎重に進めてきた」と指摘、車両のデータは「きちっと守る」とした上で適切な業者にはシェアると話した。

  • PwCはコネクティッドカー関連の市場規模が、22年には現在の約3倍の1559億ドルまで拡大すると予想する(アップルの車載情報システム「カープレイ」、ブルームバーグ)

 トヨタは今月、米インターネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムやライドシェアのウーバー・テクノロジーズなどと提携し、移動車両サービスのコンセプトを発表。北米向けセダンの新型「アバロン」でアップルの車載情報システム「カープレイ」をトヨタとして初めて搭載するなどコネクティッド分野での新しい取り組みについて相次いで発表していた。

 トヨタ広報担当のジョー・ジャンイヴ氏はカープレイの導入について、トヨタのデータ保護の姿勢に変わりはなく、「今回の提携で、アップルは車両データにはアクセスしない」と電子メールでコメントした。(ブルームバーグ)

(2018/1/19 14:30)

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