[ オピニオン ]
(2018/1/24 05:00)
景気変動の先行指標とされる工作機械の受注が好調だ。ただ自動車の電動化にどう対応するかなど課題は山積している。好調な今こそ、長期的な視点に立った対応に取り組んでほしい。
日本工作機械工業会によると、2017年の工作機械受注実績は1兆6455億円(速報値)で、過去最高だった07年の1兆5899億円を10年ぶりに上回った。日工会では18年も1兆7000億円と過去最高の更新を見込む。
工作機械の需要は、主要ユーザーである自動車業界の動向に左右される。世界的に電気自動車(EV)などの電動化や自動運転化が進めば、エンジンを筆頭に車の部品点数は大きく減少し、部品を削る工作機械の需要は減ることが見込まれる。
一方で半導体や電子部品の需要は増え、充電設備などインフラニーズも高まる。半導体製造装置などの加工に使う工作機械の需要が拡大し、マイナス面ばかりではない。工作機械メーカーはこうした動きにどう対応するか、真正面から考える時機にきている。
リーマン・ショック直後の09年の年間受注が前年の3分の1に激減するなど、工作機械業界は好不況の波が激しい。これに備え、財務面など安定した経営体質の確保が必要である。軍事技術への転用を防ぐため、特定国への輸出規制があり、政治や地政学リスクに敏感でないといけない。
さらに受注が拡大する中で、直動案内機器やボールネジなど要素部品が足りない事態が生じている。工作機械業界として極端な納期の長期化を避けるためのサプライチェーンの整備も不可欠といえる。
新興国の追い上げが激しい中で、国内の多くの工作機械メーカーは生き残ってきた。ただ、国内で100社を超える関連メーカーが、今後も競争力を維持できるかは未知数だ。優秀な人材を確保し、IoT(モノのインターネット)対応や生産性向上につながる新たな加工方法の提案など、引き続き高い付加価値を生み出すことができるかが問われるだろう。
(2018/1/24 05:00)
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