[ 機械 ]
(2018/1/30 05:00)
安心できる活用環境構築
工場内のあらゆる機器をつなぎ、データを集めて活用できるファナックのIoT(モノのインターネット)基盤「フィールド・システム」。これまで機器ごとに通信方法などが異なるためデータの一元管理が難しかったが、世代やメーカーの壁を越えて「共通のデータベースで見えるようにした」(寒川幸治常務理事)。また集めたデータを分析して故障を予知するなど活用についても、同基盤で動かすアプリケーション(応用ソフト)を開発するための応用プログラムインターフェース(API)を公開。フィールド・システムは誰もが工場で何が起きているかをデータで把握し、アプリを開発したりダウンロードして活用すればデータを自由にいかせる二つの意味でオープンな環境を提供する。
例えば加工機の音の変化をとらえて工具の回転数を上げる日々の機械調整作業では、振動センサーを新たに取り付けて原因を探るなど、フィールド・システムでは「現場での気づきをデータで裏付け、アプリを開発して補正をかけるといった独自の使い方も可能になる」(小田勝常務理事)。
一方、商品開発ではこれまでファナックが培ってきた製造現場のノウハウだけでなく、ITなど新たな技術が欠かせなかった。そのため協業する各社の知見を得ながら進める開発は未知の取り組みとなり、玉井孝幸研究統括本部次長は「新たな気づきの連続だった」と産みの苦しみを振り返る。
また、フィールド・システムはアプリ開発会社やシステムインテグレーターなど複数のパートナーと連携して商品を提供する。そのため自社の商品で起きた問題を自ら解決するように、他社の製品でも同様のサービス対応が求められる。そこでまずファナックが顧客の相談を一括して受け、内容に応じて各パートナーに対応を依頼し、問題が解決するまでフォローする体制を構築。「お客さまに安心して使っていただける商品の開発、運用、サービス体制の構築に全力を注いだ」(松原俊介取締役専務執行役員)。
(西沢亮)
【製品プロフィル】
工場用IoT基盤「フィールド・システム」はシスコシステムズ、ロックウェルオートメーション、プリファード・ネットワークス(東京都千代田区)、NTTグループと協業して開発。現場(エッジ)の近くでデータを処理する「エッジヘビー」の思想を取り入れ、リアルタイム性の高い制御を実現する。データの解析に人工知能(AI)も活用でき、生産性向上などを支援する。
(2018/1/30 05:00)