[ 金融・商況 ]
(2018/2/2 10:30)
金融庁は被害を受けた顧客への補償原資の有無やシステムの安全対策などを検証する
金融庁は2日午前、約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」を流出させた取引所大手コインチェック(東京)に対し、改正資金決済法に基づく立ち入り検査に入った。被害を受けた顧客への補償に充てる原資の有無、システムの安全対策などを詳細に検証する方針だ。仮想通貨取引所への立ち入り検査は初めて。
コインチェック本社がある東京都渋谷区のオフィスビル前に約30人の報道陣が待ち受ける中、約10人の金融庁職員が午前8時前、次々と本社に入った。麻生太郎金融相は同日の閣議後の記者会見で「利用者保護の観点から立ち入り検査に入った」と語った。
流出は1月26日に発生。外部からの不正アクセスで、約26万人の顧客から預かったネムのほぼ全額が失われた。
同社は被害を受けた顧客全員に日本円で返金する方針を示している。補償額は460億円に上るため、金融庁は財務状況を精査。実際に返金が可能かどうかを確認したい考えだ。システムの安全対策や再発防止策、原因究明の進捗(しんちょく)状況なども調べる。
同社は顧客資産を常時インターネットに接続した状態で保管するなど、安全対策がずさんだったことが判明している。
金融庁は1月29日に業務改善命令を出し、2月13日までに顧客対応や再発防止策を報告するよう命じていた。ただ、巨額の仮想通貨流出に対する社会的関心が高いことから同社からの報告を待たず、立ち入り検査に踏み切った。
仮想通貨取引所は、2017年4月に登録制が導入され、コインチェックは登録審査中だった。制度導入前から取引所を運営しているため、「みなし業者」として登録業者と同じ法規制を受ける。
また、金融庁は2日、改正資金決済法に基づき、国内すべての仮想通貨取引所に対し、システムの安全対策の状況などを報告するよう求める報告徴求命令を出したと発表した。(時事)
(2018/2/2 10:30)