[ 金融・商況 ]
(2018/2/6 16:30)
わずか15分間で起きたあまりに速いペースでの売り注文殺到は、生身の人間の仕業とは思えず恐怖を感じた関係者が多かった(ブルームバーグ)
生身の人間の仕業とは思えなかった
5日の米国株市場でダウ工業株30種平均が一時1597ポイント下落した際にどんな力学が働いたかを明言するのは不可能だが、下降局面の最悪場面で投資家の多くは機械が狂ったのではないかと感じた。ニューヨーク時間同日午後3時過ぎから約15分にわたって起きたあまりに速いペースでの売り注文殺到は、生身の人間の仕業とは思えなかった。
この市場の一大事に、先週以前の平和的な相場上昇の波に乗っていた投資家は_動転した。S&P500種株価指数は先週、下落率が3%を超えない営業日の連続で記録を更新したが、5日は4.1%安で取引を終え、1週間前の1月29日からの下げが7.8%に達した。
ウリン・アンド・カンパニー・ウェルス・マネジメントのジョン・ウリン氏は、5日のダウ平均が一時1600ポイント近く下げたことについて顧客に連絡を取り、「マクロ的なイベントや近くの非常口に殺到する人々というよりも、アルゴリズムや高頻度のクオンツ取引によるものだろうと話している」と電子メールに記した。
もちろん、すべてを機械のせいにはできない。債券利回りは上昇し、株のバリュエーションはインターネットバブル時の水準に近づいていた。ダウ平均は先週末の2日に約666ポイント下げており、それを受けた5日の一斉売りの大半は理にかなっていただろう。
それでも、BB&Tウェルス・マネジメント(アラバマ州)でシニアバイスプレジデントとして170億ドル(約1兆8500億円)相当の運用に携わるウォルター・ヘルウィグ氏は「怖かったのは、相場下落のスピードだ」とし、「午前の下げは人的要因によるものだが、午後の急落は機械の仕業だ。われわれは『一体全体、何が起きてるんだ』と、2010年と同じ反応をした」と語った。
アルゴリズムや高頻度のクオンツ取引が要因
何が相場の下落を加速させたのかは、決して明らかにはならないかもしれない。10年5月6日にダウ平均が1000ポイント近く下げたフラッシュクラッシュと呼ばれる瞬間的急落の原因も明確になっていない。ただ当時と異なり、今回は過去10年の電子市場の進展で人気を博した自動的なクオンツ戦略に注目が集まる。特に、ボラティリティーに関連するトレーディングプログラムに疑いの目が向けられた。
(2018/2/6 16:30)