[ オピニオン ]
(2018/2/7 05:00)
京都大学大学院経済学研究科の安田陽特任教授らが発表した全国10電力の基幹送電線の空容量および利用率全国調査が波紋を呼んでいる。調査によれば、基幹送電線の利用率が10社平均で20%弱しかなく、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線の平均利用率も23%と全体平均とあまり変わらなかった。
にもかかわらず、空き容量がないことを理由に再生可能エネルギー電気の接続が制限されたり、系統増強費が請求されたりするという。再生エネ発電が欧州などに比べて高コストや導入が遅れているのは、こうした問題も理由の一つといえそうだ。
送電線が空いているのに電力会社が「空き容量ゼロ」というのは、個々の発電所がフル稼働することを前提に、あらかじめ送電線の容量を確保しているからだ。この中には再稼働を目指す原子力発電所や建設中・計画中の火力発電所などを含む。
これに対し、電気事業連合会は「『再生可能エネルギーの接続』に関する報道について」という文書を発表した。
送電線は通常、2回線で運用しており、平常時に流すことができる最大値は原則、1回線分に相当する50%と説明する。その上で「全ての電源間の公平性を確保するという観点から(中略)今後連系される予定の再生可能エネルギー電源(太陽光等)や既存電源等も考慮した上で検討」としている。
特に注目されるのは「日本版コネクト&マネージ」に言及していることだ。これは緊急時用に空けておいた容量の一部を、もし事故が起こった時には瞬時に遮断することなどを前提に、平常時に活用する仕組み。現在、経済産業省の有識者会議が検討しており、導入されれば再生エネ電気の系統連系はある程度促進されると思われる。
政府は発電時に温室効果ガスを排出しない再生エネの大量導入を目指して、固定価格買い取り制度を設けた。それを貫くならばコネクト&マネージだけでなく、化石燃料による発電を抑制し、再生エネ発電の普及を優先する仕組みにすべきではないだろうか。
(2018/2/7 05:00)
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