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[ 商社・流通・サービス ]
(2018/3/3 18:30)
カンタスのパース-ロンドン便は17時間のフライトで生じる時差ぼけ抑制に向けた新たな試金石となる(ボーイング787-9ドリーマー、Qantas提供)
時差ぼけ、科学の力で克服できるか!?
ノンストップで地球を半周する超長距離便の登場により、航空各社はある避けられない状況への対応を余儀なくされている。それは時差ぼけでしつこい不眠症や長びく疲労、便秘に悩まされることだ。
オーストラリアと欧州を結ぶ初の直行便を3月に就航させるカンタス航空は、17時間のフライトで生じる時差ぼけを抑制する方法を探るためシドニーの科学者らと共同で研究している。夜明けや夕暮れを疑似体験させるため、同社は機内の照明の色や照度を1日の時間帯によって変えたり、乗客の睡眠・覚醒サイクルを目的地の時間に合わせるため客室の温度や食事のタイミングを調整したりしている。
航空技術の進歩によって航空機の飛行可能時間が伸びる中、カンタスのパース・ロンドン便が新たな試金石となる。エミレーツ航空やカタール航空、ユナイテッド航空も中東とニュージーランド、ヒューストンとシドニーをそれぞれ結ぶ路線を運航。シンガポール航空はエアバスの最新鋭機が今年納入されれば、19時間のシンガポール・ニューヨーク便を再開できる。それは心身のストレスを判定する最高のテストとなるだろう。
時差ぼけの主因は、脳波活動からホルモン生成や細胞再生に至る全てをつかさどる体内時計を狂わす24時間周期の乱れだ。
カンタスと共同研究を行っているシドニー大学・チャールズ・パーキンス・センターのアカデミックディレクター、スティーブ・シンプソン氏によると、体内時計をリセットする主なきっかけとなるのは光だという。ただ、適切な状況下でさえ、生物学的に体内時計をリセットできるのは1日にわずか90分ずつだ。日光を浴びるタイミングが悪かったり、スナックのチョイスや食べる時間を間違えたりすれば、何日も苦しむことになりかねないと同氏は語る。
(2018/3/3 18:30)