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(2018/2/13 05:00)
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解説:日本の製造業「壊れつつある」−米紙が分析(2/6)
元のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)の記事は東京発にもかかわらず、WSJ日本版(電子版)ではなぜか見当たらない。英語版の記事は2000語を超える長めのもので、日本の大企業でこのところ相次ぐデータ改ざんなどの不祥事を紹介する一方、戦後、品質管理に力を入れ、世界からそのモノづくり手法が真似されるまでになった日本の製造業の輝かしい歴史も紹介。ここにきて、そうした規範モデルが曲がり角を迎えているのはなぜなのか、理由を探ろうとしている。
それには終身雇用の終焉と非正規雇用の増加、時に高すぎる品質要求水準と納期順守第一の経営方針、円高をきっかけにした中国・韓国企業の躍進といった事情もある。特に暗澹たる気持ちにさせられたのは、日本の経営者の多くが現場出身なのに責任は現場任せ、現場の悪い情報はなかなか経営レベルに上がってこないという識者の声。81年にピーター・ドラッカーが『ハーバード・ビジネス・レビュー』に書いたコラムによる、「日本の経営陣は顧客や銀行、役所との関係づくりに力を入れ、経営上の問題に時間を割かない」との指摘も古くて新しい話で、耳が痛い。
ドラッカーのダメ出しから、はや40年近く。データ改ざんではないけれども、シャープや東芝は経営危機に見舞われた。現場のカイゼンが叫ばれる一方で、悪い情報を報告しないどころか率先してデータ改ざんを行う現場のサイロ化・たこつぼ化が、経営をむしばむ。こうした現場の問題をいち早く掬い上げ、外部の状況変化も含めて機敏に対応する経営のカイゼンこそ危機的に重要だ。
ちなみに、時事通信の要約記事では「日本の製造業モデルが壊れつつある」となっていたが、WSJの記事のタイトルは「ヒビが入りつつある(cracking)」。多少、ニュアンスの違いが感じられる。
(2018/2/13 05:00)