[ ICT ]
(2018/2/13 12:30)
人工知能(AI)による顔認証システムと連動したメガネ型情報端末を使用する中国の警官(5日、河南省鄭州市 AFP=時事)
【北京時事】中国当局が犯罪対策として、人工知能(AI)を使った大規模な監視ネットワークの構築を進めている。河南省では、駅で不審者を迅速に把握するため、AIによる顔認証システムと連動したメガネ型情報端末の利用を開始。新技術の導入で捜査の効率化を期待できる一方、重点的に監視される少数民族などの「人権侵害につながる」(人権団体)と懸念する声も上がっている。
中国メディアによると、河南省鄭州市の鉄道警察は1日から、春節(旧正月)の帰省ラッシュで混雑する駅の警備のため、新たな顔認証システムを導入した。
米グーグルが開発した「グーグル・グラス」に似たメガネ型端末で駅を歩く人の顔の画像データを取り込み、データベース化された不審者リストと照合。短時間で問題のある人物かどうかを判断できるという。逃亡中の容疑者7人のほか、他人の身分証明書を不正に使用した26人が5日までに摘発された。
監視網の強化は、駅にとどまらない。中国の都市の路上では、あちこちにAIと連動した監視カメラが設置されている。歩行者の顔の画像を捉え、防犯や容疑者の追跡に利用することが主な目的とされる。
だが、実際にどのように使われているかは不明だ。これらのカメラの数は2000万台を超え、国営中央テレビは「世界最大の画像監視ネットワークが構築されている」と誇らしげに伝えた。
「テロ対策」を名目としたAIの利用が特に進んでいるのが、イスラム教徒の少数民族が多く暮らす新疆ウイグル自治区だ。昨年8月、公安部門を統括する孟建柱・共産党中央政法委員会書記(当時)は同自治区を訪れ、テロ対策に「ビッグデータやAIなどの新技術を応用していく」と表明した。
新疆では、住民の顔写真や指紋、虹彩を含む情報の採取も行われている。こうした情報は住民の監視に利用されるとみられ、米国の人権団体などから批判が出ている。
(2018/2/13 12:30)