[ 機械 ]
(2018/2/14 05:00)
【アグリロボトラクタ】
無人による自動運転技術の研究開発が本格化している農業機械業界。トラクターでその先陣を切ったのがクボタだ。大手メーカーとして国内外競合他社に先駆け「アグリロボトラクタ」を製品化し、無人運転を実現した。
人の監視の下に無人で作業できるほか、有人機と無人機の2台の協調作業で効率化が可能。国と共同で行った実証実験では、従来のトラクター1台での作業に比べ、機械の運搬を含む運用時間を30%短縮できたという。
全地球測位システム(GPS)受信機は自社で開発。直進や旋回を含む自動走行の精度を高めている。誤差は数センチメートル級だ。「将来のキーとなる技術を内製化できればコスト余力が生まれる」(西啓四郎農業機械総合事業部農機技術本部トラクタ技術第一部ESSプロジェクトチーム長)と先を見据え、田植機やコンバインなどへの展開も見込む。
安全性は超音波ソナーとレーザースキャナーの複数搭載で確保した。ソフトウエアでの検出制御も工夫し、農機の自動運転に関する国際規格に沿って高さ80センチメートルの障害物を死角なく検知できるようにしている。製品化までに、全国5―6地区のほ場で試験を重ねた。雑草などを障害物と誤認検知して、作業が停滞しないための検知条件も探った。
農機分野では約20年前から自動運転技術が開発されてきたが、自動車分野での動きもあり「機が熟してきた」(松﨑優之同車両基礎技術部電子化チーム長)。今回実現したのは有人監視下での自動化・無人化にあたるレベル2の段階。完全無人化のレベル3という高いハードルに向け、現在は人に頼る作業の制御も可能にしたい考え。人工知能(AI)の利用も視野に入れる。
自社のGPS受信機を使う場合、位置情報補正のため基地局が必要で農家のコスト負担が大きくなる。そこで期待を寄せるのが準天頂衛星「みちびき」だ。精度は劣るが基地局が不要なことから、低コスト化には「外せない」(西チーム長)として活用を見込む。(大阪・窪田美沙)
【製品プロフィル】
2016年に発売した半自動運転タイプの畑作向け大型トラクターに続く、GPS活用農機第3弾。出力は60馬力級で稲作農家向け。17年に試験販売を始めており、18年中に本格展開する予定。作業者が乗った有人機と無人機の2台による協調作業に加え、自動運転仕様でない通常のトラクターと無人機との2台同時作業も可能だ。
(2018/2/14 05:00)
機械・航空機1のニュース一覧
- 住友電工、超硬工具 13年ぶり値上げ 4月から10―15%(18/02/14)
- 第60回十大新製品賞/日本力(にっぽんぶらんど)賞-クボタ(18/02/14)
- 工作機械主要7社の1月受注、前年比35%増 内外需が大幅な伸び(18/02/14)
- アマダHD、製販部門を再統合(18/02/14)
- 川重、舶用推進用旋回式スラスター4基を初受注(18/02/14)
- DMG森精機の前12月期、営業益15倍の293億円(18/02/14)
- シマノ、来秋にR&Dの新拠点−前12月期は増収減益(18/02/14)
- 堀場製作所の前12月期、営業益45%増−売上高・各利益最高(18/02/14)
- 幸和製作所、屋内の狭い通路も歩けるスリムな歩行車(18/02/14)
- エアバス、P&Wエンジン搭載のA320neo引き渡し停止(18/02/14)