[ オピニオン ]
(2018/2/15 05:00)
日本経済は企業部門が主導する形で緩やかな成長を続けている。それ自体は歓迎すべきことだが、経済成長の実感に乏しいのも事実。個人消費が低水準を余儀なくされ、家計部門が成長に貢献していないためだ。消費が持ち直して、家計部門が成長を押し上げる鍵は賃金の引き上げだろう。
内閣府が発表した2017年10―12月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、前期比年率0・5%増で、8四半期連続でプラスを記録した。人手不足を補うための機械化などの設備投資が前期比0・7%増となったほか、個人消費が同0・5%増とプラスに転じたことがGDPを押し上げた。
先行きの日本経済は、世界経済の回復を背景とした輸出の増加や好調な企業収益を背景とした設備投資の増加など、引き続き企業部門がけん引役となって成長を続ける可能性が大きい。ただ個人消費については、原油高を主因とする物価上昇という懸念材料があるため、持ち直しには所得環境の改善が必要になる。
「個人消費の回復には物価上昇を上回る賃上げが不可欠」との見方が一般的だ。昨年は原油高や円安の影響により消費者物価が前年比0・6%増加した。一方、1人当たりの給与総額は同0・4%増にとどまり、実質賃金は前年を下回った。こうした状況が個人消費から力強さを奪って、景気回復の実感を乏しいものにしている。
政府が民間企業に賃上げを要請する「官製春闘」には批判も多い。しかし、GDPの約6割を占める個人消費を拡大するには、実質賃金の上昇が不可欠なのは明らか。経団連が会員企業に対して3%の賃上げを促したのもうなずける。
企業は経済が成長局面にある現在を好機と捉え、潤沢な内部留保を生かし、新規投資の一環として賃上げを積極化してほしい。賃上げは企業収益を圧迫する面もある。しかし、個人消費が拡大すれば、売上高やGDPを押し上げ、景気回復をさらに長期化させ、デフレ脱却にも貢献することになる。
(2018/2/15 05:00)
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