[ オピニオン ]
(2018/2/23 05:00)
大企業のロビーで着慣れないスーツをまとった学生に、たびたび出くわす。ある会社は折り畳みテーブルを持ち出し、学生用の受付を開設する。別の企業は入り口に立った係員が、次々と来る学生に入館証を手渡していた。
経団連の指針では、会社説明会など学生向け広報活動は3月1日からと定めている。しかし、他の名目で学生を集めているのが実情だ。その一つが「1日インターンシップ」である。
本来は就業体験を意味するが、1日では会社の概況や職種の説明などで終わり、実務を経験する前に時間切れだろう。そのため実質的な会社説明会ともいわれる。採用活動の節目がなし崩しに前倒しされることの是非は議論すべきだが、気になったのは学生の態度だ。
順番を待ちながら就職活動の情報交換でもしているのか、私語が耳に付く。受け付けを終えて移動したエレベーターの前でも会話を続けている。学生の振る舞いは、良く言えば余裕たっぷり、悪く言えば緊張感がない。
“売り手市場”が続くので、仕事探しを甘く見ているのだろうと勘繰りたくなる。社会に出れば心構えが変わるはずだと期待する一方、将来「あの世代は使い物にならない」と陰口をたたかれないか、心配でもある。
(2018/2/23 05:00)