[ オピニオン ]
(2018/2/22 05:00)
上空400キロメートルで日本人が活躍中だ。国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の宇宙飛行士・金井宣茂さんが、日本人として約5年ぶりとなる船外活動に成功。予定時間を大幅に短縮し、別のミッションをこなす高い実力を世界に示した。
ISS内部は地上と大差ない生活環境。しかし船外に出るには何時間もの準備がいる。宇宙服内部が1気圧だと船外で風船状になってしまうので、エベレスト山頂並みの低気圧にし、予備呼吸で体を慣らす。
1965年に初めて宇宙遊泳をしたのは旧ソ連のアレクセイ・レオーノフ宇宙飛行士。当時はこの気圧差の問題が十分に認識されておらず、危険だったという。
重たい宇宙服も無重力空間ならラクラク―とはいかないわけだ。他にも重装備で細かい作業がしにくいことや、超高速で飛来するスペースデブリの恐怖など、宇宙という異世界に一歩を踏み出すには勇気と知恵がいる。
近年、スポーツや芸術分野で海外雄飛する日本人が増えてきた。一方、科学技術分野では長期留学する若者の数が減っていると聞く。日本の未来にとって懸念材料のひとつ。異世界に挑戦する意欲を五輪のメダリストばかりでなく、金井さんの船外活動から学んでほしい。
(2018/2/22 05:00)