[ 政治・経済 ]
(2018/2/25 12:00)
エルサレムにある米総領事館施設の外観(17年1月撮影、EPA=時事)
【ワシントン、エルサレム時事】米国務省のナウアート報道官は23日、在イスラエル米大使館を5月に商都テルアビブからエルサレムに移転すると表明した。「イスラエル建国70年に合わせて開館する」と説明した。移転計画にパレスチナは強く反発しており、2014年4月以降中断が続く中東和平交渉の再開はさらに困難になった。
トランプ大統領は昨年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認定したが、選挙公約に掲げていた大使館移転について、ロイター通信の先月のインタビューでは18年中の移転はないと指摘。ペンス副大統領も「(移転は)19年末までに」との認識を示していた。
早期移転に傾いたのは、首都認定宣言の後、懸念されたイスラエルとパレスチナの間での大規模衝突が起きず、アラブ諸国からの反発も限定的だったことが背景にあるとみられる。また、11月の中間選挙を前に、主要支持層で親イスラエルのキリスト教福音派にアピールする狙いもありそうだ。
イスラエルは1948年5月14日に建国を宣言した。在米イスラエル大使館が発表した声明で、ネタニヤフ首相は「建国70周年はさらに素晴らしい国家的な祝賀になる」と述べ、トランプ氏への謝意を示した。
一方、東エルサレムを首都とする国家樹立を目指すパレスチナの和平交渉担当者アリカット氏は「移転は(将来のイスラエルとパレスチナの)2国家共存を破壊する。パレスチナ人のみならず、全てのアラブ人、イスラム教徒、キリスト教徒を挑発しようとしている」と非難した。
(2018/2/25 12:00)