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[ 環境・エネルギー ]
(2018/3/4 07:00)
東京電力は1日、福島第一原発1~4号機周囲の地中に氷の壁を造る「凍土遮水壁」について、放射能汚染水の減少効果の試算を公表した。2017年12月~18年2月初めの汚染水発生量は1日93トンだったが、凍土壁がない場合は189トンと試算し、発生量を半減させていると見積もった。
15年度冬に1日約490トンだった汚染水発生量の実測値は、凍土壁など複数の対策の結果、17年度冬には同約110トンと4分の1に減っている。
実測値における凍土壁の効果について、東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は「いろいろな条件が混ざり、これが凍土壁の分と言うのは難しい」としている。凍土壁の建設には約345億円の国費が投じられたが、凍土壁がない場合に必要となる汚染水処理や貯蔵用のタンク建設コストについて、増田代表は「ずっと大きい」との見方を示した。
地下水や雨水が1~4号機の建屋に流入すると、内部の汚染水と混ざって量が増加する。東電は凍土壁のほか、建屋周辺で地下水をくみ上げる「サブドレン」や、地表を舗装して雨水が染みこまないようにする「フェーシング」など、複数の対策を重ねて汚染水増加を防いでいる。
凍土壁は、1~4号機建屋の周囲に地下約30メートルまで凍結管を差し込んで冷却液を流し、周囲の土を凍らせて造った地下水を防ぐ壁。14年6月に着工、16年3月から段階的に凍結を開始し、17年8月に最後の部分の凍結を始めた。現在はほぼ全ての部分で地中の温度が零下に達しており、東電は凍土壁が完成したとしている。(時事)
(2018/3/4 07:00)