[ オピニオン ]
(2018/3/7 05:00)
デジタル革新による市場変化に伴い、IT人材の雇用の流動化が進んでいる。これを加速し、IT人材のパワーを最大限に引き出すことで、産業界全体の競争力強化につなげたい。
デジタル化は製造、流通、金融、公共など全ての産業に変革をもたらしている。かつての情報システムはIT専門部門が担っていたのに対し、最近は営業や製造などの現場が直接予算を持ち、イノベーションに取り組んでいるケースが増えている。IT活用の裾野が大きく広がっていることが分かる。
こうした変化に対し、大手企業を中心に現業に精通した人材を業務改革やIT戦略に振り向け、さらに中途採用でITに関する即戦力を補おうとする動きがある。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査」からも、その傾向が読み取れる。IT部門の要員数に関して、「増やす」という回答から「減らす」を差し引いたDI値は、2017年度が過去5年間で最大だった。
とりわけ注目されるのは、IT人材の中途採用のDI値が新卒採用の2倍以上に上ったことだ。中途採用の受け皿はITの運用管理や開発といった仕事が中心。IT業界で経験を積んだ人材の活躍の場が広がっていくことは好ましい。
米国企業では、大規模な開発プロジェクトがあるとソフトウエア開発などの技術者を大量に雇い入れることが多い。こうした技術者はプロジェクトが終了すると、その実績を自らのキャリアとして別の企業などに参加し、腕を磨く。
米国流の仕事のやり方が、そのまま日本に当てはまるわけではない。ただ社内IT人材が育つのを待ってイノベーションに取り組むのでは、海外勢との競争に勝てないだろう。
IT人材の技能を生かすという意味で、IT企業とユーザー企業の間で雇用の流動化を促進するのも一手である。逆に、業務経験が豊富な人材をIT企業が採用し、その知識を業種ごとのソリューションに反映させることも可能だ。IT人材の流動化を、さらに進めたい。
(2018/3/7 05:00)
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