[ 金融・商況 ]
(2018/3/6 18:00)
参院の議院運営委員会で所信表明する日銀の黒田東彦総裁(6日午後、時事)
日本銀行の黒田東彦総裁は6日、参院議院運営委員会の所信聴取後の質疑で、「2%物価目標までまだ道半ばで距離がある」とした上で、「目標を実現していない段階で、金融緩和を中止する、弱めるというのは考えられない」と述べ、金融緩和を継続する考えを改めて示した。
黒田総裁は「量的・質的緩和に事前に特定の限界を作るわけではなく、物価安定目標が実現するまで適切な金融緩和を続けていくということに尽きる」と表明。「今の時点で長期国債が買えなくなる、というのは当面考えられない」とも語り、市場の懸念に反論した。
黒田総裁は就任直後の2013年4月、2年をめどに2%の物価目標を達成すると宣言し、異次元緩和を導入。物価が持続的に下落するデフレに歯止めはかかったものの、1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.9%上昇にとどまり、達成時期は6回も先送りされた。
この日の質疑では、「経済は大きく改善したが、2%目標に達していないのは極めて残念」と述べ、「日銀総裁をまた拝命することになれば、全力を挙げて目標を達成したい」と強調。そのために「賃金上昇が極めて重要なファクターになる」とし、今年の春闘の水準が3%になるかどうかを注視していると語った。
出口戦略については「短期政策金利とバランスシート調整が論点になる」との見解を明らかにした。「具体的にいつ、どうやるか議論するのは早い」と述べる一方で、「いろいろな手段を持っており、その時の経済雇用金融情勢を見て適切に動かしていく」と表明。「適切な時期に議論して示す必要はある」との見通しも示した。
黒田総裁は2日、衆院での所信聴取後の質疑で、物価目標について「19年度ごろには2%に達成する可能性が高いと確信している」と述べた上で、「当然のことながら、出口というものをそのころ検討し、議論しているということは間違いない」と明言した。発言を受けて為替市場では円高が進行した。(ブルームバーグ)
(2018/3/6 18:00)