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[ エレクトロニクス ]
(2018/3/19 05:00)
東芝は神経ガスなどを検出する高感度ガスセンサーを開発した。炭素材料「グラフェン」でトランジスタを作成し、その表面に吸着した気体分子を、電気特性の変化として捉える。神経ガス類似物質を数十ppb(10億分の1)の感度で検出できた。テロ対策などに持ち運べるガスセンサーシステムの実現を目指す。
1枚のグラフェンに電極を貼り付け、電界効果トランジスタとして機能させる。まず銅基板上に単層グラフェンを成膜して薬液で銅を溶かす。液中に浮いたグラフェンをシリコン基板上にすくい上げ、電極を配線してトランジスタとする。グラフェン表面にガス分子を吸着する認識分子を並べ、検出したいガスの種類を選ぶ。
神経ガスの実験用代替物質である「DMMP」(メチルホスホン酸ジメチル)は、数十ppbのレベルで検知できた。20ppt(1兆分の1)でも電気特性変化を捉えることに成功した。
単層グラフェンはシリコン基板上で約1センチメートル角。トランジスタの大きさは10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。トランジスタを集積すれば、検出するガスの種類や濃度計測範囲の違うセンサーを多数用意できる。
現在は純粋なガスで検証している段階で、現実の空間を漂う多様なガスには対応していない。今後は多センサーのデータ処理などでガスの種類特定能力を高めていく。詳細は20日から開催される日本化学会春季年会で発表する。
(2018/3/19 05:00)